業界研究

自動ブレーキで鈑金屋は廃業する?現役プロが語る「噂の真実」と生き残り戦略

nakamaru@mamoru4274

はじめに|あなたも感じていませんか、この不安

読者さん
読者さん

自動ブレーキが当たり前になったら、鈑金屋って食っていけなくなるんじゃ…?

なかまる所長
なかまる所長

その不安、現場にいる自分もよく聞かれます。
結論から言うと、なくなりません。
理由を現場目線でしっかり説明しますね

この記事では、

  • ✅ 自動ブレーキで事故・修理件数は実際にどう変わったのか
  • ✅ 業界で起きているリアルな変化と倒産事例
  • ✅ 現役の鈑金職人が考える「鈑金屋がなくならない理由」
  • ✅ これからのキャリアをどう築くべきか

を、現場目線で忖度なしにお伝えします。
「なんとなくの不安」を「根拠のある安心」に変えるヒントが、きっと見つかります。

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自動ブレーキの普及率、今どのくらい?

国土交通省のデータによると、2021年以降に販売された新車の自動ブレーキ搭載率はほぼ100%に近い水準 2021年11月からは新型乗用車への搭載が義務化されており、今後さらに普及が加速します。

ただし、旧型車がすぐに市場から消えるわけではないため、業界全体への影響はゆるやかに進んでいるのが現状です。

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事故件数は本当に減っているのか?

結論:正面衝突・追突系の事故は、確実に減っています。

警察庁の統計でも、交通事故件数・死者数は長期的に減少傾向。 自動ブレーキの普及はその大きな一因と見られています。

現場の実感としても、フロント部分の大きな衝突事故は明らかに減っており、高額修理の案件がはっきり減少しています。

フロントバンパー・ボンネット・ラジエーター周りの大きな修理は、鈑金屋にとって単価の高い仕事の筆頭でした。 その案件が減るということは、売上への直撃を意味します。

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「鈑金屋が消える」噂の出どころと、実際に起きた倒産

噂は根拠のない話ではありません。
実際に業界では、苦しい現実に直面した工場もあります。

業界内で実際に起きた事例

コロナ禍の少し前、ディーラーの下請けをメインにやっていた工場が約2億円規模の大型設備投資を実施。 しかしその後、ディーラーからの発注が激減し、投資を回収できないまま倒産してしまいました。

この倒産の本質的な原因は「自動ブレーキ」ではなく、一つの取引先に依存しすぎたビジネスモデルの脆さにあります。

噂が広まる構造

  • ❌ 大型投資した工場が廃業
  • ❌ 「鈑金屋が減っている」という印象が広がる
  • ❌「自動ブレーキのせい」と短絡的に結びつけられる

原因を正しく理解することが、正しい対策への第一歩です。

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知らないと損する!自動ブレーキ車修理の「落とし穴」

自動ブレーキが普及したことで、修理の中身も複雑になっています。

車種によってはフロントバンパーを外しただけでチェックランプが点灯し、ディーラー持ち込みやエーミング(センサーの再調整)作業が必要になるケースがあります。 昔のように「とりあえず外して直す」が通用しない車種が増えてきました。

昔と今の修理の違い

昔の修理今の修理
バンパー外して鈑金・塗装なるべく部品を外さず修理
作業はほぼ自社完結ディーラー持ち込みや専門設備が必要
工賃がシンプルエーミング費用が別途発生
短納期を出しやすい段取りが増えて納期が延びる

仕組みをわかりやすく説明できる工場が、お客さんの信頼を勝ち取れる時代になってきました。 技術力と説明力、両方が武器になります。

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では、鈑金屋は本当になくなるのか?【結論】

なくなりません。仕事は変化しますが、ゼロにはなりません。

その理由を3つ、現場目線でお伝えします。

理由①|自然災害・経年劣化はなくせない

自動ブレーキはあくまで「人為的なミス」を減らす技術です。 台風・大雨・降雹などの自然災害や、紫外線による塗装劣化は防げません。 自然が相手では、どんな安全装備も無力です。

理由②|商用車・トラックは別の話
  • 🚚 荷物の積み下ろしによる傷・へこみ
  • 🚚 倉庫・工場内での接触(自動ブレーキが効きにくい環境)
  • 🚚 過積載や悪路走行による損傷
    • 乗用車とは使われ方がまったく異なる商用車は、車体へのダメージが避けられません。 商用車の修理需要は今後も安定して続きます。
理由③|職人の高齢化・人手不足が深刻
  • 👴 ベテラン職人の大量引退
  • 👦 若手のなり手が少ない
  • 🏭 廃業する中小工場の増加
    • 仕事が「多少減る」としても、やれる人も同時に減っています。 一人当たりの需要は相対的に保たれるため、過度な悲観は不要です。
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これからの鈑金工場・鈑金塗装職人が取るべき戦略

戦略①|特定の取引先・仕事に依存しない
  • ✅ ディーラー下請け+個人客の両輪
  • ✅ 保険会社ルート・自費修理ルートの複線化
  • ✅ 商用車・特殊車両など対応車種を広げる
戦略②|エーミング対応を「武器」にする

自動ブレーキ車の修理を「面倒」と敬遠する工場が多い今こそ、対応できる工場の価値が上がります。
エーミング設備の導入やディーラーとの連携体制を整えることが、強い差別化軸になります。

戦略③|若手職人はキャリアのチャンス到来

業界の高齢化・人手不足は深刻で、経験年数が少ない若手でも売り手市場になっています。 積極的に転職して様々な技術に触れ、キャリアアップすることが今の時代の正解です。

まとめ|鈑金屋は変化するが、なくなりはしない

テーマ結論
事故・修理は減ったか前回り衝突は減少。高額修理は減っている
廃業ラッシュは来るか依存体質の工場は危険。多角化が必須
修理の中身は変わったかエーミング等で複雑化、対応力が差になる
仕事はゼロになるかならない。災害・商用車・人手不足が支える
若手に未来はあるかある。売り手市場で今がチャンス

この記事のポイントまとめ

  1. 自動ブレーキで「前回り事故」は減った。でも仕事がゼロにはならない
  2. エーミング対応など、修理の複雑化を「武器」に変えた工場が強くなる
  3. 職人の高齢化・人手不足で、若手には追い風の時代が来ている
  4. 特定取引先への依存が最大のリスク。多角化が生き残りの鍵

最後まで読んでいただきありがとうございました。 この記事が、鈑金業界の「これから」を考えるきっかけになれば幸いです。

ABOUT ME
なかまる(所長)
なかまる(所長)
現役の鈑金塗装職人・整備士
10年以上のキャリアを持つ現役鈑金塗装職人兼メカニック。手取り9万、残業月150時間という地獄の見習い時代を経験し、働きながら2級整備士資格取得。【鈑金・塗装・整備】すべてに従事し、現在は大手トラックメーカー内製工場にて架装業務まで幅広くこなしています。低賃金でこき使われていた若手時代を経て気づいたのは、「現場の技術」に「賢いキャリア選択」を掛け合わせることの重要性。本ブログ『BPキャリア研究所』では、自身の経験をもとに、AI時代でも食いっぱぐれない「稼げるメカニック」になるための戦略を本音で発信しています。
家族: 妻と猫2匹
趣味: インデックス投資、筋トレ、愛車(ジムニー/V-Strom 250SX)
SNS: note『レンチとわたし』にて現場のリアルを配信中
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