鈑金塗装職人の年収はいくら?【手当・賞与・稼ぎ方のリアルも解説】

「鈑金塗装の仕事に興味があるけど、実際どれくらい稼げるの?求人票の給料を見てもピンとこないし、ネットの平均年収って本当なのか不安…」

「その疑問、現場にいる私がリアルにお答えします。結論から言うと、経験14年の私で年収は約650万円。ただし、この数字に至るまでの道のりと、給与の”中身”を知らないと転職で失敗します。統計データと現場の肌感覚、両方お見せしますね」
こんにちは、なかまる(所長)です。
「鈑金塗装 年収」で検索すると、いろいろな数字が出てきます。しかし、現場で働く私の実感では、平均値だけを見て判断するのは危険です。
なぜなら、鈑金塗装職人の年収は「工場のタイプ」「手当の仕組み」「賞与の月数」「働き方(固定給か歩合か)」によって、同じ経験年数でも倍近い差がつくことがあるからです。
この記事では、現役職人である私自身の給与明細レベルの実態も交えながら、鈑金塗装職人の年収のリアルをお伝えします。読み終わる頃には、求人票のどこを見れば「稼げる職場」を見抜けるのかが分かるはずです。
鈑金塗装職人の年収相場|統計と現場の肌感覚
統計上の平均年収
厚生労働省の公的統計で近い職種区分を見ると、令和6年賃金構造基本統計調査の「自動車整備・修理従事者」は年収換算で約466万円です。鈑金塗装は統計上ぴったり一致する単独区分が見つけにくいため、この記事では近接職種の公的統計を参考値として扱います。
この数字には20代の若手からベテランまで全員が含まれます。つまり「平均=あなたがもらえる額」ではありません。若手は平均を下回り、経験を積めば平均を大きく超えるのがこの業界の給与カーブです。
現場の実感:私の場合は経験14年で年収約650万円
統計はあくまで統計です。ここからは私自身の話をします。
私は現在、経験年数14年で年収はおよそ650万円です。メーカー系ディーラーの内製工場で、鈑金と塗装の両方を担当しています。
先ほどの公的統計の平均(約466万円)と比べると「意外と高い」と感じるかもしれません。ただ、最初からこの水準だったわけではありません。詳しくは後述しますが、私の見習い時代の手取りは9万円でした。この業界の年収は、キャリアの前半と後半で景色がまったく違うのです。
経験年数別の年収目安

| 経験年数 | 年収の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 0年 | 約299万円 | 近接職種「自動車整備・修理従事者」の公的統計ベース |
| 1〜4年 | 約385万円 | 若手でも賞与の有無で差が出やすい |
| 5〜9年 | 約432万円 | 一人で工程を回せるかで上振れしやすい |
| 10〜14年 | 約500万円 | 資格・役職・会社規模で差が広がる |
| 15年以上 | 約529万円 | 公的統計の平均値。条件次第でさらに上振れもある |
ただし、これは近接職種の平均値であり、ディーラー内製工場・輸入車系・賞与が厚い会社では、私のように600万円台に届くケースもあります。歩合(フルコミ)であればさらに上振れする可能性もあります。
給与の内訳を分解する|基本給だけ見てはいけない理由

求人票の「月給25万円」という数字だけでは、実際の収入は分かりません。鈑金塗装職人の年収は「基本給+手当+残業代+賞与」の4つの掛け算で決まります。
資格手当の実態
私の職場では、整備士資格に応じた手当が支給されています。
- 2級整備士:月6,000円
- 3級整備士:月4,000円
- 検査員手当:私の職場では支給なし
さらに、うちの会社には社内資格制度があり、等級に応じて月5,000円から、最上位だと月30,000円程度の手当がつきます。
資格手当の相場は月数千円〜数万円と幅広く、検査員手当が月2万円以上つく会社もあれば、私の職場のようにゼロの会社もあります。求人票や面接で「資格手当の金額」を具体的に確認しましょう。
残業代の出方
これは職場の質を見極める重要ポイントです。
今の私の職場では、残業代は1分単位で全額支給されています。
当たり前のことのようですが、この業界では「みなし残業」「サービス残業が常態化」という工場がまだ存在します。同じ月給25万円でも、残業代が正しく出るかどうかで年収は数十万円変わります。
賞与(ボーナス)の落とし穴
賞与こそ、工場による格差が最も大きい項目だと私は思っています。
前の職場では、賞与が1ヶ月分出たらめちゃくちゃ良い方でした。10万円程度しかもらえない年もざらにあったのです。
一方、今の会社は年間約6ヶ月分(夏3ヶ月+冬3ヶ月)が支給されており、今年の夏の賞与は100万円を超えました。
同じ「鈑金塗装職人」という仕事でも、賞与だけで年間100万円以上の差がつく。これが現実です。
「賞与あり」の一言だけでは、寸志程度の可能性もあります。「賞与:年2回・計〇ヶ月分(実績)」と具体的な月数が明記されている求人を選ぶのが安全です。書いていない場合は面接で必ず実績を確認しましょう。
地域・工場タイプで変わる年収
地域差:求人レンジは都市部が高め
地方は都市部より求人レンジが低めに出る傾向があります。とくに賞与水準や手当の厚さは会社差が大きいため、地域名だけでなく求人票の条件まで確認するのが大切です。
腕に自信がついてきたら、賞与や手当が手厚い会社への転職で年収を上げるという選択肢も現実的です。
工場タイプ別の特徴

| 工場タイプ | 給与水準 | 特徴 |
|---|---|---|
| ディーラー内製工場 | 安定して高め | 賞与・福利厚生が充実。昇給制度あり |
| 大手・中堅の専業工場 | 中〜高 | 実力評価。歩合併用の会社も |
| 小規模・個人経営 | 幅が大きい | 社長次第。賞与が薄いケースも多い |
| 完全歩合(請負) | 実力次第で青天井 | 高収入の可能性と引き換えにリスクあり |
年収が高い職人は何が違うのか
私の周囲で「稼いでいる」と聞く職人には、明確な共通点があります。
完全歩合(フルコミ)の請負で仕事をしている人たちです。
腕が立つ職人が請負で数をこなすと、人によっては月収100万円を超えているという話も実際に聞きます。固定給では絶対に届かない水準です。
ただし、ここには大きな注意点があります。
請負の中には、塗料代や材料費を自分で負担しなければいけない契約もあります。売上が月80万円でも、経費で20万円消えれば手元には60万円。単価と経費負担の条件をよく確認しないと、「思ったより残らない」ということになりかねません。
また、フルコミは仕事量が景気や取引先に左右されます。家庭がある方や安定を重視する方は、固定給+歩合のハイブリッド型から検討するのが現実的だと私は思います。
若手の給与が安い問題|業界への提言
ここからは少し、私の本音を書かせてください。
私は見習い時代、手取り9万円の会社に入ってしまいました。今思えば完全にブラック企業で、これは極端な例なので参考にはならないと思います。それでも、この業界の最初の3〜5年は給与が安い傾向にあるのは事実です。
当時よく言われたのは、「仕事ができないうちは稼げないんだから、給料が安いのはしょうがない」という理屈でした。
しかし、その結果どうなったか。みんなどんどん辞めていきました。
技術が身につく前に生活が成り立たなくなり、業界を去っていく。これでは人材が育つはずがありません。
これからの企業は、若手への給与を「先行投資」と考えるべきです。仮にまだ仕事ができなくても、それなりの給与を出して育てる覚悟がなければ、今後この業界で人を採用していくのは本当に難しくなると私は思っています。
裏を返せば、これから業界に入る人・転職する人は「若手にきちんと給与を払う会社」を選ぶ目を持つことが何より重要です。見習い期の給与水準は、その会社が人を育てる気があるかどうかのリトマス試験紙なのです。
年収を上げる現実的なステップ

私の経験から、鈑金塗装職人が年収を上げる現実的な方法を整理します。
- 整備士資格・検査員資格を取る:手当の積み上げに加え、転職市場での評価が確実に上がります
- 鈑金と塗装の両方をこなせるようになる:対応範囲が広い職人は、どの工場でも重宝されます
- 賞与月数の多い会社へ転職する:私自身、職場が変わって賞与が「10万円」から「夏だけで100万円超」になりました
- 実力がついたら歩合・請負も視野に入れる:ただし経費負担の条件確認は必須です
特に3つ目は強調したいポイントです。同じ仕事内容でも、会社を変えるだけで年収が100万円以上変わることがある。これは私が身をもって経験したことです。
Q&A|鈑金塗装の年収でよくある質問
Q1. 未経験からだと初任給はいくらくらいですか?
A. 未経験スタートの求人は月給20万〜25万円前後が目立ちます。見習い枠や地域によっては18万円台〜22万円の求人もありますが、都市部や輸入車系・設備の整った工場ではそれ以上の提示も珍しくありません。
Q2. 鈑金と塗装、どちらが稼げますか?
A. 単純比較は難しいですが、どちらか一方より両方できる職人の方が確実に市場価値は高いです。工場側から見ると、工程を横断できる人材は代えが利かないからです。
Q3. 資格がないと年収は上がりませんか?
A. 資格手当自体は月数千円程度のこともありますが、資格は転職時の交渉材料として効いてきます。特に検査員資格まで取ると、指定工場では手当や役職につながりやすくなります。
Q4. 独立すれば年収は上がりますか?
A. 上がる可能性はありますが、設備投資・認証取得・集客というハードルがあります。まずは請負(フルコミ)で「自分の腕でいくら稼げるか」を試すのも一つの段階の踏み方です。
Q5. 40代・50代でも年収は伸びますか?
A. 伸ばせます。この業界は腕と経験がものを言う世界で、ベテランほど難易度の高い仕事を任されます。ただし体力面の変化はあるため、後進の指導やフロント業務など働き方の幅を広げておくと安心です。
まとめ|年収は「会社選び」で決まる部分が大きい
最後に、この記事の要点をまとめます。
・近接職種の公的統計(令和6年)では年収換算約466万円、経験15年以上の平均は約529万円。経験14年の私は約650万円
・年収は「基本給+手当+残業代+賞与」の掛け算。特に賞与は会社間格差が最大(年10万円の会社もあれば夏だけで100万円超の会社もある)
・フルコミは月収100万円超の可能性がある一方、材料費負担などの条件確認が必須
・若手期の給与水準は、その会社が人を育てる気があるかの判断材料
・同じ仕事でも会社を変えるだけで年収100万円以上変わることがある

「平均年収だけ見て諦めかけてたけど、会社選びと経験次第でちゃんと稼げる仕事なんですね。求人票の見方も変わりました!」

「そうなんです。この仕事は最初こそ苦しいかもしれませんが、腕を磨けば裏切らない世界です。ただし、頑張りに正当な給与で応えてくれる会社を選ぶこと。それがこの業界で長く、豊かに働くための最大のコツですよ」

